心の中で
プロローグ「今を生きる」(自分に)
私は、以前から「過去は変えられない。未来はどうなるかわからない不透明だ。今を精一杯生きよう。」と言ってきた。
しかし、今の自分はこれまでの年月が作り上げてきた。二十歳には二十歳の今があり六十歳には六十歳の今がある。
今までの積み上げは、無駄じゃない。よく、「もう五十歳だ!」とか「もう六十歳だ!」という人がいる。しかし、五十歳だからこそのその人の良さがある。七十、八十、九十、百・・・どんな歳でも、その時の今があり、良さがある。
自分をもっと好きになろう。自分は、自分が考えているより、ずっと魅力的なんだ。そして、魅力的になるための努力をしよう。
「あなたのその魅力は・・・」
あなたの魅力は、あなただけで作ったものではない
あなたの人生にかかわったすべてが今のあなたを作り上げている
それが、どんなに悲しい事であったり、つらいことであったとしても
人生の物語の一つ一つがあなたとつながり、あなたの人格を作り上げている
20歳には、20歳の
40歳には、40歳の
60歳には、60歳の顔がある
そして、それを作り上げているのはそれまでの人生なのだ
そして、その人生を作り上げているのはそれまでのあなたの生き方なので
そして、その生き方を作り上げているのは今のあなたの努力なのだ
あなたが素敵なのは
これまでの人生が素敵だったから
これまでの生き方が素敵だったから
今の努力があなたを素敵にしているから
自分には見えてない自分
他人には見えてない自分
自分には見えない
他人には見せない自分
自分では見たくない自分
他人には見せたくない自分
あなたの魅力は、すべてにある。
笑顔のあなた
苦労しているはずなのに
あなたの笑顔は輝いている
そんなあなたの笑顔に会って
わたしも心が輝いた
悔しい思いがあるはずなのに
あなたの笑顔はすがすがしい
そんなあなたの笑顔を見ると
わたしの心もすがすがしい
苦しい時でも悲しい時でも
どんなときでも笑顔の光る
そんなあなたを心に留めて
そんな笑顔のわたしでいたい
「そこにある」
見えないからといって なにもないわけじゃない
太陽だって雲に隠れ 月だって太陽に隠され
しかし 太陽は照ってる 月は輝いている
君の心ももぼくの心も 見えないだけさ
周りを照らし輝くために 今も心はそこにある
聞こえないからといって なにもないわけじゃない
電波だって音を運び 光だって信号を送る
しかし 電波はどこにでもあり 光は目に止まらぬ速さだ
君の声ももぼくの声も 聞こえないだけさ
周りに伝え響くために 今も声は頭の中にある
触れられないからって なにもないわけじゃない
空気だって周りにあり 吐く息だって空気に包み込まれ
しかし 空気は漂っている ぼくらは呼吸している
君の息もぼくの息も 触れられないだけさ
周りとともに生きるために 今も息は胸の中にある
※なにもないようで、「そこにある」ものを感じとれるように、心をとぎすまそう。詩は、そんなところから生まれると思う。 SK
四つ葉のクローバー
三つ葉の茂みを探したよ
風に揺られて顔を出した
三つのはあとにしがみつく
緑の水玉ドロップ付き
都会の中で揺れ動く
同じ顔の群れから覗く
三つの心にしがみつく
違う心の葉っぱ付き
茂みに紛れたクローバー
だけど違うよ本当は
他との違いを主張する
私は四つの葉っぱ付き
「闇の中から」
今日の光が消えるとき
夕焼けを美しく感じるか
その後の暗闇を恐ろしく感じるか
それは、君の自由だが
明日の輝く夜明けは必ず来る
地球は確かに廻り
闇は光を呼び戻す
君の脳細胞も確かに回転し
沈黙は精神を呼び戻す
闇のために光があるのではない
光のために闇があるのだ
闇が深いほど光は明るい
さあ、闇を山ほど食って
明日の光を太らせるのだ
取り残された僕
時の流れは いつでも 僕を追い越して
今のうちに 今のうちに と思う間に
わたしは、老いていた
希望の光も 見えぬ間に
夢のかけらも 成さぬのに
僕の心は 朽ちた肉体に 侵されて
後悔の海で 溺れている
私の中には もう何もありはしない
顔を上げて 歩むこともできない
人の心は いつでも 僕を置き去りにして
子供だ 子供だ と思っている間に
君は、大人になっていた
愛の姿も 見えぬ間に
真実と偽りの 判断もつかぬのに
君の心は 大人の心に侵されて
僕の脇を 通り過ぎていく
君の中には もう僕は存在しない
胸の中に 抱きしめることもできない
時の流れは いつでも 僕を追い越して
人の心は いつでも 僕を置き去りにする
取り残されたものの 悲しみを
人並みが 無表情に 包み込んでゆく
時の流れは いつでも 僕を追い越して
人の心は いつでも 僕を置き去りにする
「心がつながっているっていうこと」
心がつながっているっていうのは
いつもいっしょに居るってことじゃないさ
身体が離れていても 心の中でいっしょにいるってことさ
いつもいつも その人のことを考えてしまうのは 恋さ
でも 一生恋して人生は送れないさ
いつも 死ぬことを考えているのと同じさ
いつも その人が 心のなかに居るってことは
さびしいとき つい相手のことを思い出してしまう
いつも お互いに頭のどこかにいるっていうことさ
君は 確かに ぼくの心の中に居る
そして もし 君の心の中にぼくが居れば
心がつながっているってことさ
心がつながっているってことは
相手を規制することじゃないさ
いつも心の中で抱きしめているってことさ
いつもいつも 抱いていてほしいのは わがままさ
でも 一生抱き合って人生は送れないさ
いつも 自分のことだけ考えてほしいのと同じさ
いつも心の中で抱きしめていてあげるから
自分がどう思われているかなんて考えないで
もっと もっと 自由に生きてみようよ
ぼくの心に中に君がいて
君の心の中にぼくがいるのなら
心がつながっているってことなんだから
「意識」
人間には、意識しないと感じられないものがある
空気
いつでも周りにあり
あること自体が気にならない
透明だから何色なんだろう
どんな模様で、どう動いているのだろう
その存在を感じるとき
色があり、模様が有り、動きがある
目をつむり、耳をふさぎ
静けさの中に 神経を集中して感じる気配
愛
近くにあっても
見えない 感じられない
色やにおいや音も無い
目に見えたら どんな形なんだろう
その存在を感じるとき
君がいて 心が震え 鼓動が高鳴る
体を抱き 唇を合わせ
その空間の中に 心があったかくなる世界
自己
どこにいるのか
何をするために そこにいるのか
今、自分がなんのために
その時間と空間と意思を感じるのか
その存在を感じるとき
理由が有り 思考が循環し 愛がある
脳細胞を集中し 神経を研ぎ澄ませ
人に必要な人間として 自覚できる瞬間
人間には、意識しても感じられないものがある
記憶
生まれたとき
何を考え 何を感じていたのだろう
意識自体もない世界
生きるための激しい生存競争
その存在を感じられるとき
対象がいて イメージがあり 刺激がある
感覚がめざめ いつしか相手を意識する
人間としての生活が始まるとき 思い出せない季節
睡眠
眠りに入ったとき
眠り自体を感じるときがあるのか
夢を見ているときだけは
何かを夢想し 意識の外界に彷徨う
その存在を感じられるとき
離脱した精神が 天空から自分を見下ろす
意識とは 違う世界で
自分の姿が ぼんやりと形になる
生
生きているのに
どうしてそこに ないのだろうか
朝が来て 起きたことで
生きていることを 感じて良いはずなのに
その存在を感じようとして
愛を求め 他者を求め 自己を求める
いつかは 生きていることを
証明するために 目覚める必要がある
人間には、意識を支配できないものがある
君
いつも私の心にいて
実体がないものなのに
幻想だと思ってみても
どんなに離れていようとも
忘れようとしても 忘れられない
思い出そうとして 思い出す必要が無い
いつも記憶は 覚睡している
脳の中の君が 網膜に張り付いている
恋
いつのころからか
私を支配するものが生まれ
自分でもわからないうち
自分で自分がコントロールできない
私はどこに行ってしまったのか
考えれば考えるほど
ハートの中に埋没していく
脳の活動が制御不能になる
死
いつかは来る事実なのは
わかっているはずなのに
それが現実になることを
受け止めることができない自分がいる
自分の存在がなくなったとき
世界が無になることを理解できず
世界を感じている自分がなくなることで
全ての世界が消え去ることが信じられない
神は自分の中にいる
全てのことを感じるのは自分
全てことを認識するのは自分
どんなことも自分がいなくなれば何もなくなる。
世界も社会も全ては自分がこの世の中に存在し、脳を使っているから存在する現象なのだ。
だから、全てのことは自分がこの世の中にいなくなってしまうと存在しない。
死は、全てを消し去ってしまう。
(脳が死ねば全てを感じることができなくなってしまうから死と同じに全てを消し去ってしまう。)
怖さも恐れも心霊現象も全て自分が感じていること。
喜びも楽しみも幸せも全て自分が感じていること。
それらの自分にとって悪い気持ちになる感情も良い気持ちになる感情も全てが自分の中に蓄積され自分というものができている。
その経験が多ければ多いほど自分という人間が大きくなる。
神も自分が作り出しているのだ。
全ての感情を乗り越え蓄積することで、自分の中の神は大きく成長していく。
自分だけで乗り越えられない人は、既存の神を信仰することで乗り越えれば良いわけで、そこでもやはり神は自分の中で作り上げている。
そして、どんな神でも自分がこの世の中から消えてしまったときに喪失してしまう。
神は、自分だけでは判断できないときや解決できないときにすがっていく寄る辺だ。
その寄る辺が、頼れないときに人間は自分で死を選ぼうとする。
死は、全てを消し去ってくれるからだ。
しかし、その時神も死ぬのだ。
だから常に、神は自分の中にいる
だから人間は、自分の中の神を大きく成長させる努力が必要なのだ。
自分の中の神が自然消滅してしまうまで。
そう、寿命が尽きるまで。
だから、私は、死ぬまで生きることにしたのだ。
何処からか
さよなら さよなら さよなら
何処からか誰かが呼びかけてくる
振り返ってみても誰もいない
誰が呼びかけてくるのだろう
真っ暗闇の中 懐中電灯を向けても
どこにも実体が見えてこない
心の中の録音機が止まらない
何だか繰り返し再生している
いつになったら 電池が切れるのか
いつまでもいつまでも繰り返している
手巻きレコードのように
ゼンマイの力が尽きてしまわないのか
会いたい 逢いたい アイタイ
何処からか誰かが呼びかけてくる
周りを見廻しても誰もいない
誰が呼びかけてくるのだろう
まとわりつく霧の中をかきわけても
どこにも姿を現さない
心の中のビデオデッキが止まらずに
何だか繰り返し映写している
いつになったら スイッチが切れるのか
いつまでもいつまでも繰り返している
タイムスイッチが入り
知らぬ間に切れてしまわないのか
何処からか誰かが呼びかけてくる
いつまでも 何処までも
2020.3.24
季節の中で
「新しい木々の鼓動」
木は、曲がりくねった直線で
空へ突っ込んでいく
俺は空の血管だと枝を広げて
木々は、鼓動を続ける
風にふるえる黄色い葉は
必死に生命を維持させる
重なり合わぬようにふんばっている葉は
一葉、一葉と枝を去る
新しい緑の芽吹きのために
古い細胞のように落ちねばならないのだ
冬の透き通る青空のなかに
枝だけががっしりくいこんで
力をたくわえ
新しい生命を待つのだ
さあ、芽吹け
太陽のエネルギーがいままた
新しい生命を求めて
光り輝いている
新しい木々の鼓動は
空気を震わせ
新しい生命の誕生を
はっきりと予告している
三六五分の一の恋人(コスモス)
コスモスの 反射するような
君の 光のなかで
瞬いていたいと 思うのだけれど
私は 三六五分の一の恋人
眩しすぎる
コスモスの 薫るような
君の 空気のなかで
息をしていたいと 思うのだけれど
私は 三六五分の一の恋人
澄みすぎる
コスモスの 歌うような
君の 風のなかで
聴いていたいと 思うのだけれど
私は 三六五分の一の恋人
優しすぎる
コスモスの 群れているような
君の 花びらのなかで
頬摺りしいていたいと 思うのだけれど
私は 三六五分の一の恋人
柔らかすぎる
ただコスモスが 頬笑む姿を
心の幻燈に映すばかりだ
自然の中で
夜道
まっくら まっくら
目の前も まっくら
一本の懐中電灯で
道のあることがわかる
まっくら まっくら
どこまでも まっくら
雲がきれて月の明かりで
ぼんやり先があるだけで
まっくら まっくら
いつまでも まっくら
歩いても 歩いても
明かりに届かない
暗闇の先には必ずあるはずの
光に届かないのは
光が欲しいと喘いでいる
深海生物のようだ
暗闇に深く包まれて
暗闇から抜けて
光線に包まれたら
光に溶けてしまうのでは
まっくら まっくら
体中 まっくら
まっ暗闇に溶け込んで
自分の身体もその中に
まっくら まっくら
聞こえてくるのは
肺と心臓の声
人声が欲しい 人の明かりが
まっくら まっくら
いつか明かりの中にいる
自分を夢観て 歩く 歩く
きっと明かりに 届く道
いい天気
おはよう!今日もいい天気
君の心は、いい天気?
僕の心は、いい天気?
僕に会えれば、いい天気
君に会えれば、いい天気
今日は、どっちの天気かな?
今日のお空は、いい天気
きっと 今日もいい天気
暮らしの中で
隣の線路が走ってる
隣の線路が走ってる
まるで自分の過去のように
走る走る線路は走る
こっちの電車と競争して
時には電車を吹き飛ばし
時には線路を引き込んで
走る走る線路は走る
こっちの電車をおいぬかさんばかりに
目の錯覚かもしれないが
現実って全て目の錯覚かもしれない
走る走る線路は走る
こっちのことなど知らんぷりで
走っていないと不安なわたし
何かに追われているように
走る走る線路は走る
逃げてもついてくる影のように
隣の線路が走ってる
置き去りにされているのも知らず
走る走る線路は走る
本当の姿は冷たく置かれた鉄のかたまり
「めまい」
朝、目覚めると
天井が回っていた
自分の周りが回っていた
世界の中心が自分だとわかった瞬間
自分の中の水分を
すべて絞り出して
自分の中身を入れ替える
嘔吐の中で生を感じていた瞬間
トイレの中で
下を向いた途端
狭い空間が回っていた
小さい世界の中でも転換を知った瞬間
自分の中のすべてを
入れ替えようとでも思って
周りのすべてを回転させる自分
むかつきと浮遊感を体感した瞬間
いつかどこかで
同じようなことがあった
ひとりで寝るとき天井を見上げた
少年時代のそれは不安だとわかった瞬間
自分の中の意識は
過去とつながっていることを
思い出させようとでもするように
めまいが急に自分を支配した瞬間
未来への不安が
今、自分の中に芽生え
過去との転換を迫るように
めまいは、突然に今を分断する
その瞬間、自分はどこへ行ってしまっているのだろうか
その瞬間、世界は自分と切り離されてしまったのだろうか
その瞬間、過去は未来を予言したいのだろうか
ラムネ珠の向こう
ラムネの瓶を分解して透明の珠を取り出すと
それは、満月のようにまんまるな球状をしていた
珠のつるつる肌と月の青白い肌は比べようもないが、
その透明感は、何とも言えない同質感があった
透明な珠に感じるのは
幼いとき、その質感にあこがれてのぞき見て
いろんな光を透かして探した世界
あのときのラムネ球は、どこに行ったのだろう
こんなに透明じゃない・・・雑な透明感
お〜い そこにあるのは一体なんなぁんだ〜
おまえの感じていた世界なのかぁ〜
雑だから見えたものも見えなかったものも
すべてが蘇ってくるように手のひらで転がす
その質感と変わらずに戻り来るものは
どこかにしまい込んでいた感覚という錯覚
透明な珠に写るのは
ガラス玉の向こうに生きる様々な世界
自分の部屋の全てがそこに集められている
自分の世界がそんなもんだとでも言うように
自分が生きる世界の有様が写される
お〜い そこにあるのは一体なんなぁんだ〜
おまえの住んでる世界なのかぁ〜
そこにあるのは、凝縮されてひっくり返った世界
すべてがそこに縮小されて収められている
なんて小さくまとめられる世界なんだ
実在と架空を結ぶ入り口のような出口
透明な珠に映るのは
今までに通り過ぎた人生に生きる様々な人々
自分の人生が全てそこに集められて動いている
自分の生きてきたことはそんなものかと言われながら
ほんの短い期間のできごとが映る
お〜い そこにあるのは一体なんなぁんだ〜
おまえの生きてきた世界なのかぁ〜
長く生きてきたつもりでも そこに映し出されるのは
短い、短い瞬く間のフラッシュ残像物語
人類の、いや、地球の歴史に比べようもなく
記憶にも留められない小さな人間の一瞬だ
透明なラムネ球を紙の上に置くと
光をレンズのように集めて
小さな光の玉を作る
光の集合体として世の中の光を全部集めているように
輝きが何層にも積み重なり拡散している
何が集められているのだろう
自分が吸い込まれて光の一部として凝縮されていく
今までの自分は、どこへ行ってしまったのだ
自分がそのまま光としてぼおっと固まっている
今の自分は光の玉の表面に映し出されているのか
自分が拡散していく開放感と喪失感
これからの自分は、光を少しずつ失って行くのだろう
何が見えるようになっているのだろう
そこに見えるのは、真実か虚構か
見えるべきものが見えず、見えないものが見える
見ている自分が本当なのか
それとも 珠の中に見える自分が本当か
手のひらで転がしている珠の中には
何も動かない世界が光っている
ラムネ球は、もう元には戻れない
瓶の中で曖昧に揺れて光っている世界を望んでも
一旦壊された世界は戻らない
ラムネ球は、もうガラス玉にしか過ぎない
光を集めたり、拡散したり、透かしたり、反射したり・・・
ガラス玉の世界を生きるばかりだ・・・
何もない日に
春は、冬に浸食され、北風がさくらの花びらをちぎっていく
陽は、雲に包まれて、低温がコートの襟を立てさせる
空気は、雨粒に切断され、傘の面を音立てる
いよいよという時に、いつも期待に、はぐらかされる
君は、気ままに、勝手なところに行ってしまう
僕は、残されたまま、自分の中に入ってしまう
2人は、会う機会もなく、離れて行ってしまう
いよいよという時に、いつも心に、はぐらかされる
昔は、暗闇の中に、消えて行ってしまう
今は、光の中に、吸い込まれて行ってしまう
明日は、透明の中に、透けて行ってしまう
いよいよという時に、いつも時に、はぐらかされる
目は、見えないものが見え、見えるものが見えない
耳は、ジャズのメロディーにだまされる
口は、とうとう、噤んだままだ
いよいよという時に、いつも感覚に、はぐらかされる
何もない日には、1人で考えるために雨の中を歩く
何もない日には、1人で想うために部屋の中でたたずむ
何もない日には、1人で寝るためにウイスキーを飲む
そして、いよいよ、1日が終わっていく
いよいよという時に、何もなく、はぐらかされて終わっていく
「捜しものはどこに」
幸せってどこにあるのだろう
探せば探すほど見付からない
片付けてしまった書類を探しても
しまってしまった記念品を探しても
押し入れにぶち込んだ衣類の中にも
それは、意識しないときにフッと現れる
かくれんぼをしていて忘れていた鬼のように
足下の茂みの中に隠れていた四つ葉のように
雨上がりに見上げた空に浮かぶ虹のように
愛ってどこにあるのだろう
探せば探すほど見付からない
片付けてしまった写真を探しても
しまってしまった段ボールを探しても
屋根裏部屋の忘れ去られた時の中にも
それは、意識しないときにフッと現れる
隣に歩いている人の中に
語り合う友の言葉の中に
いつもは見慣れた家人の笑顔の中に
そして、君はどこに行ってしまったのだろう
探せば探すほど見付からない
押し込められた通勤ラッシュの電車の中にも
大勢の人々が行き交う都会の雑踏の中にも
ビルの上から見下ろす蟻のような群れの中にも
君は、意識しないときにフッと現れる
電車の中から窓越しに覘いた景色の中に
信号待ちの交差点の反対側の歩道に
見上げたビルの窓ガラスの中に
しかし、それらは、暑い日の蜃気楼のように
心の中に思い浮かべた情景のように
目を覚ましたときの夢のように
あたりまえのように、消滅していってしまう
子供の中で
生きる幸せ
悲しいということは
このクラスで一人でも悲しい人がいるということ
それは自分の悲しみだということ
誰かが悲しい顔をしているということ
世界中の誰かが悲しいということ
その悲しみを誰も知らないということ
うれしいということは
自分がうれしいということ
それを誰かに分けてあげられるということ
クラスのみんながうれしいということ
自分一人がうれしければいいんではないということ
誰かがうれしいとき自分もうれしいということ
幸せということは
自分が幸せということを感じることができるということ
ほほをさわる風を感じることができるということ
誰かの笑い声を聞く事ができるということ
悲しいことを共感できるということ
うれしいことを共有できるということ
幸せだから生きてるっていうことではなく
生きているから幸せだっていうこと
「人間って したがりや」
人間って 夢を見る動物 というよりは
夢を見たがる動物さ
人間って 人を信じる というよりは
人を信じたがる動物さ
人間って 人を愛する というよりは
人を愛したがる動物さ
人間って 何かをしたい
人間って したがりやな動物なのさ
これって 他の動物には まねできない
だから 人間ってやつは 他の動物とは違う
でも それが えらいってわけじゃない
生きるのが 苦しいということもあるから
生きるのが 下手っていうわけさ
だから 他の動物は 自分で死んだり
殺意をもったりできない
でも 生きるのが 楽しいっていうのも
他の動物には できないことさ
ぼくら人間は したがりやの 特権を
どう生かしていけば いいのかな
それを 考えるのが 人生なのかもしれない
※(夢と現実 その狭間で 生きる君たちへ)
けむし
その子は 目を大きく開いて
その手を 私の前に突きだした
掌には まんまると育った毛虫が乗っていた
きっとそれは 彼の大事なたからものなんだ
毛がそそり立ち 成虫になるのを待つばかり
その頭は ぐるぐると次の世界を探している
その子の顔は 太陽のように光っていた
そう赤く腫れて 太陽のように笑っていた
掌の 彼のたからものは 輝いているが
きっとそれは 彼の身体を蝕んでいるのだ
大好きな 大好きな そのけむし
彼には他は何も見えない 心から愛しているために
※ 特別支援学級の虫大好き君が、毎年春になると毛虫の害に体中を腫れ上がらせている。
かゆいのでかく!だから、真っ赤になる。お母さんは、学校のせいでは無いかといつもぴりぴりとして、申し出てくるが、そんなこと百も承知の職員は、点検を欠かさない。
きっと、登下校中に虫を探して宝物のように遊んでいるのだろう。
そんな彼を「けむし」という題で描いてみた。
私たち健常者は、知らぬ間に彼らを蝕んでいるのでは無いだろうか。
彼の掌に輝いている毛虫のように。
その違いは、彼の愛している毛虫ほど彼には愛されてはいないということなのかもしれない・・・。
愛?
「微笑みが届くとき」
君の微笑みが届くとき
空がいっぱいに広がり少年の微笑みに戻る
どれだけの時間が経過したというのだろうか
きっと君の微笑みが届くまで
君に微笑みが届くとき
地球が空転して少女の微笑みが帰ってくる
どれだけの時間の隔たりがあったのだろうか
きっと君に微笑みが届くまで
何が君との間にあるのだろう
きっと微笑みが行き交うだけ
それは、少年と少女の眼差しを通して
微笑みが届くときのように
「大好きな片思い」
生きていることを感じるとき
恋は、突然胸に飛び込んでくる
帰って来た飼い主を迎える犬のように
尾を千切れんばかりに振りながら
そのうち、頭に這い上ってきて、脳みそを舐める
そうすると、想いが巡って、イメージを消せなくなるばかり
こっちの想いなんか知らんぷりで
イメージは、自分勝手に膨らんでいく
何を問いかけても首をかしげるだけで
何も応えようとはせずに
そのうち、心を掴まえて、思いっきり振り回す
そうすると、いくら振りほどこうとしても、食い込んでいくばかり
いいなぁ 生きているって
誰かを心の中に飼っているって
すぐ隣にいる人だからって
自分の中ではいくらでも片思い
大好きな片思い
「愛のパズル」
ぽっかり空いた空洞に ピッタリはまった愛のパズル
そういえば、1ピース足りないことに気付いたのは
いつのことだったろう
それは、君との出会いが無理矢理作り出した空洞?
青空の中にキッチリ空いたロケットの通り道のように
急に抜けた1ピース
誰が組み立てたのか、できあがっている景色に
いつの間にか何もないスペースが突然のように現れ
組み立てられていたことに気付く
それぞれの部品の姿がくっきりと組み合わされている
世界だということがわかり驚愕したことも忘れ
今は、自然な姿でそこにはまる
この世の中の全てが組み合わされてできているのだ
どんな小さな生き物もどんな大きな景色でも
微粒子、微細胞の組み合わせだ
どこかで歯車が食い違えば、消滅だってしかねない
ちょっとした掛け合わせの違いで怪物ができるように
心の掛け違いで誤解が爆発してしまう
一番壊れやすいのは、肉体かも知れない
小さな微生物でも針一本でも細胞にヒビが入る
ちょっとした変化で分解するのだ
だが、一番壊れて欲しくないのは、心の中にある
愛という名の形のない、あやふやな感情のひとつ
風船が飛び去るような、しぼむような
愛のパズルは、目には見えないが、感じていたい
抜けたパズルをいつも探していることで錯覚に満ち足りる
実は、1ピースも手にしていない現実
探しているのか、忘れてしまったのか、記憶の中から
いつしか組み合わせる感覚も消えていく
それが愛のパズル 1ピース
「捜しものはどこに」
幸せってどこにあるのだろう
探せば探すほど見付からない
片付けてしまった書類を探しても
しまってしまった記念品を探しても
押し入れにぶち込んだ衣類の中にも
それは、意識しないときにフッと現れる
かくれんぼをしていて忘れていた鬼のように
足下の茂みの中に隠れていた四つ葉のように
雨上がりに見上げた空に浮かぶ虹のように
愛ってどこにあるのだろう
探せば探すほど見付からない
片付けてしまった写真を探しても
しまってしまった段ボールを探しても
屋根裏部屋の忘れ去られた時の中にも
それは、意識しないときにフッと現れる
隣に歩いている人の中に
語り合う友の言葉の中に
いつもは見慣れた家人の笑顔の中に
そして、君はどこに行ってしまったのだろう
探せば探すほど見付からない
押し込められた通勤ラッシュの電車の中にも
大勢の人々が行き交う都会の雑踏の中にも
ビルの上から見下ろす蟻のような群れの中にも
君は、意識しないときにフッと現れる
電車の中から窓越しに覘いた景色の中に
信号待ちの交差点の反対側の歩道に
見上げたビルの窓ガラスの中に
しかし、それらは、暑い日の蜃気楼のように
心の中に思い浮かべた情景のように
目を覚ましたときの夢のように
あたりまえのように、消滅していってしまう
ハッピーバースデイ と言おう
今日の日は、一回しかない あなたが 誕生した日
あなたが 生まれなければ わたしたちが 出会うこともなかった
生まれることは 人生の始まり ヒトとして 生きる始まり
たとえ1歳でも 56歳でも 訪れる日もまた 一回きりだ
特別に 何かが 変わるわけでも無し 生まれるわけでもない
日常が 様々な 変化を生む中で 変化のない生活が続くだけ
苦しみや 悲しみに 押しつぶされそうに なったときでも
あなたが 楽しみや 喜びに 導いてくれるから
意味の無い 人生ダと 悲観する 日々の中に
ふるえるほどの 心のときめきを 感じられることを 祝いたい
だから ハッピーバースデイ と言おう
一番嬉しいのは 今日の日を 一緒に 迎えられたこと
いつでも 時は駆け足で ふたりの間を 通り抜けていく
だけど ふたりの鼓動は バクバクと 近付いていく
一緒に いなくても 感じることができる 距離感に
今でも 一緒には 居ることは できないけれど
共に過ごす 時間は経ち 誕生日を 迎えることができたんだから
どんなに あなたが 歳をとるのが きらいでも
わたしは あなたが 生まれてきたことを 祝いたい
あなたの 存在が わたしの人生に 光をさしてくれたから
あなたの まなざしが わたしを 勇気づけてくれたから
だから ハッピーバースデイ と言おう
あなたには 幸福を感じられる 誕生日とは 言えないかも知れないけど
わたしには 幸福を感じられる 誕生日だと 言える日なので
だから ハッピーバースデイ と言おう
あなたのその仕草が
あなたは、何を考えているの?
わたしを苦しめるために?
あなたは、何をしようとしているの?
わたしを驚かせるために?
あなたは、なんで泣いているの?
わたしを振り向かせるために?
あなたは、なんで怒っているの?
わたしを試すため?
あなたは、なんで知らんぷりをしているの?
わたしを悩ませるために?
あなたは、なんで帰ってしまうの?
わたしを淋しくさせるため?
あなたは、なんで悲しそうにしているの?
わたしを不安にさせるために?
あなたは、なんで笑っているの?
わたしを後悔させるために?
あなたは、なんでうつむいているの?
わたしに肩を抱いてもらうために?
あなたは、なんで上を向いているの?
わたしに涙を見せないようにするため?
あなたは、なんで口うるさくしているの?
わたしを無口にさせるために?
あなたは、なんで口をふさいでいるの?
わたしに声をかけさせるために?
あなたのその仕草が私を悩ませ
あなたのその仕草が私をつかんで離さない(永遠に)
ちょっとした日常
生きる幸せ(再編)
幸せということは
自分が幸せということを感じることができるということ
ほほをさわる風を感じることができるということ
誰かの笑い声を聞く事ができるということ
悲しいことを共感できるということ
うれしいことを共有できるということ
悲しいということは
自分の周りに一人でも悲しい人がいるということ
それは自分の悲しみだということ
誰かが悲しい顔をしているということ
世界中の誰かが悲しいということ
その悲しみを誰も知らないということ
うれしいということは
自分がうれしいということ
それを誰かに分けてあげられるということ
周りのみんながうれしいということ
自分一人がうれしければいいんではないということ
誰かがうれしいとき自分もうれしいということ
生きる幸せっていうことは
幸せだから生きてるっていうことではなく
生きているから幸せだっていうこと
一人で生きていることよりも
みんなで生きている方がもっと幸せだということ
幸せを共有できる方がもっともっと幸せだっていうこと
いい人生って何だろう
今までのことを悔やんでみても
何かが変えられるわけでもないし
変わるわけでもない
平凡な人生を送ってきて
「何のために生きてきたんだろう」
と思ってみても答えは出ない
確かに毎日を無為に過ごす日々
満足できる日ばかりではない
しかし、たまにでも良い日があればいい
いくら悩んでみても仕方がない
これからどう生きるかを考えた方がいい
それには今を生き生き生きるのがいい
何もしていないようでも誰かのためになる
何もしていないようでも自分を感じる
何もしていないようでも今を生きる
そんな人生ってのがいいな
考えるより生きてるってのがいいな
意識しないで生きてるってのがいいな
君は確かに誰かのために生きている
君は確かに自分の人生を生きている
そして、君は確かに今を生きている
まだまだ長いよ人生は
今の自分は今までの自分がつくってきた
これからの自分は今の自分がつくるんだ
さあ、また歩いて行こう
生きているうちは
自分の道を
幸= 亠+辛
辛いことに ふたをして 幸せになろう
ふたがとれると 辛さが こぼれ落ちる
「幸」という字は ひっくり返しても「幸」だ
幸は 逆立ちしても 不幸せにはならない
だから 安心して ひっくり返ろう
幸せを 逃がさないように しっかり押さえて
ふたがとれないようにする 唯一の方法は
いつも 笑顔でいればいい ただそれだけ
辛いときがあったら 笑ってみよう
きっと ふたがかぶって 幸せになるから
隣の ふたもかぶせて 笑顔にできるといいな
返ってきた 笑顔で もっと幸せになるから
ランプの会話
古いランプを手に入れた
誰が使っていたものか
古いランプは物語る
誰に愛されていたのかを
ガラスの曲線はなめらかに
誰かの姿を映し出す
ガラスに明るさきらめかせ
誰かの思いを広げてる
遠いかなたのその先に
多くの瞳の輝きを
遠い時代を通り越し
多くの心のつながりを
ランプの灯りの向こうには
焔を見つめる君がいて
ランプの灯りを通しては
ふたりの明るい声がする
君の手元のランプには
僕の姿が映るだろう
君のランプの灯りの中に
僕の気体が燃え上がる
僕の手元のランプには
君の姿が映ってる
僕のランプの灯りの中に
君の裸体が揺れている
ランプとランプが共鳴し
灯りと灯りが揺れ合って
君と僕とが抱き合って
身体と身体が燃え上がる
ランプの魅せる灯火の
ランプ自身の独り言
一人のランプの二人言
二人のランプの灯の会話
母の死から (H26.9.28没)
逝ってしまった
有が無になる
何が実感なんだろう
感覚は残るのか
一所懸命思い出そうと
目をつぶるのだが
記憶の扉は綴じられて
残像は薄れていく
人間は生きているから人間なんだ
母は生きているから母なんだ
結局何が私と母をつないでいるのだろうか
子供の頃の手をつないだ感触も今はない
脳裏に浮かぶのは母の泣き顔ばかり
盗み買いをして泣かれた悲泣
父の不祥事を告白した努泣
弟が先に旅立った時の苦泣
ふと孫の顔を思い出すとそこに母の笑顔
初孫が生まれ二人目、三人目が生まれ
みんなが集まり笑顔に囲まれ
最後の笑顔もみんなの集まり時だった
何を残して逝ったのだろうか
手のぬくもりもそのまなざしも
温かいものは何も残っていない
写真の平面が冷たく語っている
人間は、そうしてつながっていくのだろう
温かいものから冷たいものへ
冷たいものから温かいものへ
何も無いようで どこかで
人間は、そうしてつながっていくのだ
いつかは自分も冷たい平面になり
いつかは どこかで きっと
自分も つながっていくのだ
人生の中で光るものは!
人生とは誕生から死亡までの期間
一人の人間の生きた軌跡なのだが
誰もそのすべてを知っているわけではない
知っているのは自分だけなのだが
自分でもそのすべてを記憶に残してはいない
脳の記憶領域には残っているはずなのだが
それを引き出す力が残ってはいない
人生は誕生で始まり死亡で終わる
初めはどんなことでも重要なはずなのだが
人生の始まりは誰も覚えてはいない
終わりも大切なもののはずなのだが
人生の終わりは自分の記憶に残らない
誰もが最後まで自分でありたいと思っているのだが
その時にはもう自分ではなくなっている
人生の中で大事なものは生きている期間にある
その期間の中で心に刻まれることは
多くの始まりと多くの終わり
人の生きざまを自分の中に刻み喪失する
その繰り返しが人生での自分の生きざま
どれだけ自分の中に刻みつけてきたか
回数ではなく感覚の重さが人生の中で光る
人生の中で光るものとは人ひとヒト
私の中で確かにあなたは光っている
きっと喪失してからでも光り続ける
目を閉じていても瞳の中で光っている
頭の中に現れては光の中で共に歩いている
モノや場所や時間よりも記憶に残る
刻みつけられ光り続けるのは共に過ごした人
そんな人が私の人生で今も光っている
ありがとう!
ちょっとした気付き
円い月の空
駅から家に帰るとき月がでていた
東の空に金色に光る大きな月だった
明るくてあったかくて
君の笑顔のようだった
何万年前の人間もきっと
この空を見ていたのだろう
そしてその人間もきっと
誰かをおもいだしていたのだろう
夜中にまた月を見てみた
南の空に銀色に光る小さな月だった
静かで冷たくて
君が悲しんでいるようだった
この世界のどこかできっと
誰かがこの空を見ているのだろう
そしてその人間もきっと
誰かを思い浮べているのだろう
朝駅へ向かうとき月が残っていた
西の空に白く残るうすい月だった
透明でたよりなくて
君が消えていくようだった
この空の下できっと
誰もが必死で生きているのだろう
そしてその人間もきっと
誰かを忘れられないでいるのだろう